今までずっと会社員をやってきた人にとって、フリーランスの世界はいろんな面で未知です。
そして、どんな職種でも通るのが「開業準備」です。
自分が独立した時もよく分からないながらに色々調べながらなんとかやってきったので、これからフリーランスになる人に向けて、フリーランス歴3年の自分が今、改めて振り返って、「やっといて良かったな」「やっておけば良かったな」ということを含めてまとめました。
目次
会社員のうちにやっておきたい準備
フリーランスと会社員の痛感するのがまずこの部分です。退職前に検討してみましょう。
1. 貯金をしておく
フリーランスになると安定して毎月入ってくる収入が途絶える人が多いはず。ある程度、実績や実力があってもうまく回るようになるまで時間がかかる場合も少なからずあります。
なので、独立を決めたら半年から1年分の生活費程度は、最低限貯金をしておくと気持ちの面でも余裕ができます。
2. クレジットカードを作っておく
フリーランスになるとクレジットカードの審査が通りにくなるので作っておきましょう。悲しいことに、「〇〇株式会社の花井」と「個人事業主の花井」では信用が違います。
「今まで現金メインだったしなぁ」という人も、
- クレジットカードと会計ソフトを連携させると確定申告が楽
- 経費でカード使うと結構ポイントが貯まる
と言うメリットがあるので、事業用に1枚作っておくといいです。ちなみに僕は、楽天カードを使ってます。
事業用と分けた方がいいのか?
ここは好みですね。僕は一緒にしてしまってます。
と言うか、いろいろ調べていくうちに経費に入るものと入らないものが分かってきたので、最初は明確に分けれなかったと言うのが実際のところです。
ただ、レシートとカードの明細が残っていれば、プライベート用と事業用の切り分けで困ったことはないので、個人的には分けなくてもいいかなと思っています。
3. ローンの契約や借り換えをしておく
これもクレジットカードと同じで信用の問題です。
家や自動車のローンを組む予定の人は、会社員のうちの方が審査が通りやすいです。
あと、見落としがちなのが、ローンの借り換えです。僕はフリーランスになった当時、まだローン3年目位だったので契約時と金利はほとんど変化してなかったのですが、今は超低金利なので10年以上前にローンを組んでいる人は一度見直してみるとそれだけで安くなる可能性があります。
ローンの借り換えも新規の借入と同様に、フリーランスの方が審査が通りにくいので、退社前に検討してみてください。
退社したらすぐにやりたい準備【手続き編】
会社員時代には完全に未知の領域だった、退社後の手続きです。ここも時期が大事な手続きもあるので要チェックです。
4. 失業保険の申請を検討する
と言う声が聞こえてきそうですが、これも知っておいて損はない制度です。
僕は退社後に、すぐに友達経由で一つ仕事をもらえる話があったので迷わず開業届を出したのですが、その後が続かずほとんど収入のない生活が続いたので、今思えば「失業保険もありだったかなぁ」と思います。
自己都合での退社だと給付制限が3ヶ月あったり、勤務年数に条件があったりしますが、退職前6カ月間の給料の約50~80%が90〜150日分貰えるので、結構でかいです。
それまで会社でちゃんと働いた権利なので、十分検討しましょう。
5. 開業届を出す
開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)です。実は、提出する義務はないのですが、次の項目にも関わってくる青色申告による税金の控除などを受けようと思うと必要になってきます。
届出の期限は、事業開始日から2ヶ月以内です。青色申告ができなくなるなどデメリットもあるので、出す予定の人は忘れずに提出しましょう。
困りそうなところでいくと、個人事業をする際の名前「屋号」を書く欄があります。これ、実は空欄でも構いません。
屋号がなくてで困らないか?と言うと、屋号で銀行口座が作りたいとかがなければ特にありません。(事業用の口座は、個人名義でもOK。)
また変更したい場合も、確定申告時に新しい屋号を書けばそれでOKと言う比較的ゆるい感じです。
6. 青色申告承認申請書の提出
こちらも、開業届と一緒に出しておきたい申請書です。
この申請書を出しておくと確定申告の時に青色申告ができ、多めに控除してもらえます。
ただ、青色申告をするためには複式簿記をつけないといけないと言うハードがあります。
ただ
- 会計ソフトに入力すると自動で作成してくれるので、比較的簡単
- もう一つの申告方法である白色申告でも帳簿(複式簿記ではない)をつける必要がある
と、会計ソフトを使うことで申告方法による手間の差が少なくなったので、とりあえず青色申告承認申請書を出しておくのをおすすめします。
仮に申請書を出しても、白色申告に切り替えることはできます。(逆はできない。)
奥さん(旦那さん)やご家族の人を従業員にする場合
奥さん(旦那さん)やご家族の人を従業員にする場合は、別途届出が必要です。
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
上の「青色事業専従者給与に関する届出書」だけでも問題ないのですが、下の「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を出しておくと、源泉徴収を提出するのが12回(毎月)から2回(1、7月)に減らせるのでおすすめです。
ちなみに、どちらの書類も初年度のみ提出すれば2年目以降も継続として扱われます。
7. 健康保険の切り替えをする
会社をやめると健康保険も自分で管理しないといけなくなります。
退職時の選択肢としては、
- 任意継続する(前の会社の保険組合のまま(最大2年))
- 国民健康保険に入る
- 文芸美術国民健康保険組合などの個人でも加入できる保険組合に入る
の3つがあります。
これの選ぶ基準は何と言っても、健康保険の料金(社会保険料)です。
健康保険の料金(社会保険料)は、前年度の収入で決まります。なので、独立してすぐは収入が安定しないのに、会社員時代の収入にもとづいた料金になるので、正直辛いです。
さらに、会社員時代は会社が半分負担してくれているので、仮に任意継続で会社員時代と同じ保険にした場合も保険料は倍になるので、さらに辛いです。
ここでも、会社員の待遇の良さを痛感します。
ちなみに、僕は1年目は任意継続、2年目以降は国民健康保険を選びました。これもそれぞれの条件によるので、比較してみてください。
8. 年金の切り替えをする
こちらも会社で入っていた厚生年金から国民年金に切り替えます。区役所の窓口で行えます。
付加年金の追加加入がおすすめ
国民年金は、厚生年金に比べると手薄です。そこを少しでも補うために、付加年金への加入がおすすめです。
付加年金は、一律月額400円を月の保険料に追加することで、「200円 × 付加保険料の納付月数」を将来受け取れる年金に上乗せできると言う仕組みです。
例えば、30歳から60歳まで、もれなく付加年金に加入していた場合、
400円 × 12ヶ月 × 30年 = 144,000円(30年で支払う付加保険料の合計)
200円 × 12ヶ月 × 30年 = 72,000円(老後に受け取れる付加年金 / 1年あたり)
なんと、2年で元を取れます。
ちなみに72,000円は、生きているかぎり毎年受け取ることができます。
注意点としては、国民年金基金との併用はできないので、国民年金基金への加入を検討している人は注意が必要です。
ちなみに加入方法は、国民年金に切り替える時に「付加年金に加入したいのですが」と言うと書類を出してくれます。ちなみに配偶者がいる場合、配偶者の分も別途加入する必要があるのでお忘れなく。
開業したらすぐにやりたい準備【事務処理編】
いよいよ、独立です。最初の余裕のあるうちに、一通りやっておくと後々助かります。
9. 会計ソフトを導入する
今、個人事業主を始めるならこれは必須です。僕も今まで2回、確定申告をしていますが会計ソフトのおかげで、税理士さんの力を借りずに何とか自力でやってます。
とは言え、最初はよく分からなくて少し触って放置気味でした…でもそれでも何とかなったのは、カードや銀行を連携しておいたから!
帳簿についてへの理解はおいおいでもいいので、この提携だけはやっておいてください。これやっとくだけで後々ほんとうに助かります。
ちなみに、会計ソフトはfreeeかMFクラウド確定申告か青色申告オンライン辺りががおすすめです。
僕は、MFクラウド確定申告を使っています。
フリーランスの税金関係の最初の一冊としては、きたみりゅうじさんの「フリーランスを代表して 申告と節税についておそわってきました。」がおすすめです。「何が経費になるのか?」と言う疑問に答えてくれて、「あーこう言うものが経費になるのか」と言うのがざっくり分かるようになります。僕もいまだに読み返します。
フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。
10. 事業用の連絡先の取得
事業用の連絡先も準備していきます。
最近だと業種によっては個人の携帯と必要に応じてチャットツールで何とかなると言う人もいるかもしれません。
ただ僕は信用のために、以下の3つを取得しました。
- 独自ドメインのメールアドレス
- 自分の住んでる地域の市外局番の電話番号
- 自分の住んでる地域の市外局番FAX番号
あとは、必要に応じてSlackやChatWorksなどのちゃっとツールを使っています。
独自ドメインのメールアドレス
ホームページを作らなくても、独自のドメインを取れば独自ドメインのメールアドレスは作れます。例えば、ムームードメイン で取れば、ムームーメールなどのサービスもあります。
自分の住んでる地域の市外局番の電話番号
固定電話を引かなくても転送電話サービスを利用すれば、自分の住んでいる地域の市外局番の電話番号を使えます。
僕もToones転送電話というサービスで番号を取得して、個人の携帯に転送されるようにしています。
住んでいる地域で仕事をとる時に、警戒されにくいのかなと個人的には思っています。
自分の住んでる地域の市外局番のFAX番号
かなり使う機会は減ってきてはいますが、根強いのFAXです。こちらも固定電話を引かなくても、メール感覚で送受信できるインターネットFAXを利用するば、自分の住んでいる地域の市外局番のFAX番号を使えます。
僕も使用頻度はそこまで多くないですがeFaxと言うサービスを契約しています。
【2018.9.11追記】月額基本料金の抑えられる秒速FAX 送信/秒速FAX Plusと言うサービスに乗り換えました。
【2018年】経験談あり!インターネットFAXのおすすめランキング【徹底調査】
11. 事業用の印鑑作成
フリーランスになると、契約書を交わしたり領収証や見積書を発行する時に印鑑を押す必要が出てきます。
会社を立てる場合は、実印・丸印・角印の3点が必要になりますが、フリーランスの場合は、とりあえず実印があれば大丈夫です。
実印は、住民登録をしている市役所等で「印鑑証明」に印鑑を登録する必要があるので、忘れずに登録しておきましょう。
12. 名刺を作る
独立すると何の縁が仕事に繋がるか分からないので、人に会う機会などにも持っておきたいものです。
ただ、個人情報をいたずらにバラまくのも怖いので、
- 自宅で仕事をしている場合などは住所を省く
- 交流会などでは、SNSなどのアカウントしか連絡先を載せない簡易版を渡す
などの対策も大切です。
13. 見積書・請求書などの雛形
見積書や請求書なども自分で作成・発行・管理するのもフリーランスの仕事の一つです。
会計ソフトに連携したサービスもありますし、発行部数が少ないうちはExcelで管理するのも手です。
これも1度準備してしまえば使い回しが聞くので、開業したら早いうちに揃えておきましょう。
まとめ
会社員退社前に知りたかった開業準備リストを紹介してきました。
今回は、事務手続き系をメインにまとめてきましたが、並べると結構数がありますね。
慣れないことなのでちょっと面倒臭そうに見えますが、1つ1つはそんなに大変ではないので、確実に一歩一歩進んでいって充実した独立の第一歩を踏み出してくださいね。